経過観察
食物アレルギーが疑われるとき
食物アレルギーがもともと診断されていて誤食してしまった、家で少しずつ食べるように指示をされているとき。もしくは完全に初回の食物アレルギーとして発症した場合などが考えられます。どちらにしても発症した場合には注意した対応が必要となり、「皮膚や唇の発赤やかゆみがある」・「意識がもうろうとしている」・「ぜーぜーしていたりかすれ声がある」・「顔色や唇の色が悪い」・「嘔吐や腹痛がある」などが2つ以上ある場合には救急要請して迅速に医療機関を受診してください。
また皮膚以外の症状が単独でも強い場合にも同様です。皮膚のみの症状で、程度が軽く自然軽快する場合のみ自宅で経過観察が可能です。初回の食物アレルギーについては判断が悩みますが、「初めて食べたもの」「初めてではないが量が多い」「今までと調理方法が違う(卵であればリスクは、固ゆで→半熟→生やプリンなどの低温調理のように上がります)」「体調が悪い中で摂取した」などがあれば疑われる状況です。
また、救急要請した後に下記のように対応してください。加えてあらかじめ診断されており、処方がある場合にはその内服薬もしくは注射薬を使用してください。
【ホームケアの要点】
〇お風呂について
自宅で経過観察や受診後に帰宅になった場合、その日は浴槽での入浴は推奨しません。全身が温まることにより蕁麻疹が再燃してかゆくなってしまう危険があります。シャワーのみにしましょう。
〇帰宅後について
医療機関受診後に帰宅して経過観察を指示されることがあります。稀ではありますが帰宅後に症状が再度出現して悪くなることもあるため注意して様子をみてください。再受診に関しては観察ポイントと受診のタイミングに記載したものを再度参考にしてください。
【観察ポイントと受診のタイミング】
食物アレルギーの症状には以下のものがあります
- 皮膚・粘膜:皮膚の紅潮、かゆみ、眼球結膜充血、鼻汁
- 呼吸:ぜーぜーする、咳、かすれ声、呼吸困難
- 循環:顔色や口唇色の不良、手足が冷たい
- 意識:もうろうとする
- 消化器:腹痛、嘔吐、下痢
食物アレルギーが疑われる場合には以下のように対応してください。
- 診断されていて処方されている内服薬や注射薬があれば使用
- 1) ぐったりして反応が悪い
- 2) 呼吸が苦しくてぜーぜーしている。かすれ声がある。
- 3) 顔色や唇の色が悪い
- 4) 全身の症状が2か所以上ある場合
- 5) 全身の症状が1か所であっても強い症状の場合
救急要請して救急受診
- 1) 皮膚の症状のみで元気そうな場合
救急外来に受診相談
- 顔面や口唇のみの軽度の発赤のみですぐに消退したとき
かかりつけ医/クリニック受診
食物アレルギーはどうやって診断するの?
食物アレルギーは血液検査のみで診断することはできません。たとえ血液検査で陽性となっても食べられることはありますし、陰性でも食べられないこともあります。食べていない食材のアレルギーかどうかの予測もできませんので、症状が出る前に検査をすることはおすすめしません。大事なことは新しい食材は平日の日中の医療機関の体制が整っているときに少量から摂取することです。世間でアレルギーというワードが独り歩きして、アレルギーに「アレルギー」を持ってしまっている人が多いのが実情です。
いままで食べてきたもので発症することもあるの?
その時の体調や、調理方法や量によって抗原性が高くなり反応してしまうことがありますのでゼロではないです。また、運動誘発性のアレルギーというものもあります。
食物アレルギーと診断されたら一生食べられないの?
食材の種類や実際の経過によります。アレルギーを疑って原因食材を中止することは容易ですが、その食材に関して確かな知識をもって解除していくことに関しては専門性が高くなってきます。かかりつけの先生とよく相談して対応してください。また診断や解除のなかで経口負荷試験が有用でもあるため、必要に応じて実施可能施設と連携をとることもあります。